【器違いと水の不思議】
品質評価するには「唎き猪口」を一般的には使用します。何故なら、その形状が醸造で用いる仕込みタンクの形状比とほぼ一致しているからです。瓶はなだらかな曲線を描き必ずしも仕込みタンクと形状は違いますが、底が平であるということが重要です。人の口に入る最初の器が瓶になります。瓶から注がれる時の器がより仕込みタンクに近いものほどその酒の「素」が現れます。
そういった理由で「唎き猪口」でその酒本来の「素」を確認することが必要です。
誤解なき様に言いますと、どんな器で飲まれても良いのですが、その酒が最も輝く器があるということを知っておいて損はないと思います。
理科の時間に水の性質について勉強した記憶があると思います。
その代表例が「記憶する」と「濡らそうとする」という性質を持っているということです。この二大性質から導き出されるのは、器の形状通りに濡らしながらその形状を記憶していくという特性です。
ですから器が変わると香りや味わいに変化が現れます。
このBrewでの試飲では、三タイプの器に絞り込みました。
経験上、下記の三タイプに盃タイプを追加することでこれら以外の器にも応用できると思います。
先ず、最初は「唎き猪口」です。底が平らで寸胴型。ぐい呑みタイプで仕込みタンクや桶や瓶と同一形状。そのため、その酒の本質が分かります。
二番目に「味わいグラス」です。底が平らで側面は緩やかな窪みがあり、香りと味わいを引き立てます。味わいに濃縮感があり、バランスが悪い酒はくどさがきわ立ちます。
三番目はワイングラスタイプの「割烹・和みグラス」です。底が円錐形と丸いものがあります。香りがシャープに立ち上がり、軽く上品さを感じます。味わいグラスと比較すると濃縮感は薄れる傾向があります。
番外として、「盃タイプ」です。底が円錐形で口が大きく広がっている形状。酒の良い・悪いを曖昧にし特性を消してしまう傾向があります。良いお酒にはお勧めできない器です。

お酒について 学んだことを 綴っています

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